リードプログラム: EF-210

適応症:筋強直性ジストロフィー1型(DM1)

DM1は、骨格筋、眼、心臓、中枢神経系、内分泌系など複数の臓器に影響を及ぼす多系統疾患であり、最も一般的な三塩基リピート病です。世界中で8,000人〜20,000人に1人がDM1に罹患しており、日本では約15,000人、日米欧を合わせると約150,000人の患者がいると推定されています。 残念ながら、現在FDA承認の治療法はなく、DM1患者は重篤な症状に苦しみ、治療ニーズが非常に高い状況です。

DM1は、筋強直性ジストロフィータンパクキナーゼ(DMPK)遺伝子に存在するCUG三塩基リピートの増加によって引き起こされます。正常な人ではDMPK mRNAの3' UTR領域に5〜37個のCUGユニットが存在しますが、DM1患者では50個以上のCUGユニットが観察されます。 過剰なCUGリピートはヘアピン構造を形成し、RNAスプライシングに重要な役割を果たすMBNLタンパク質を捕捉・結合してしまい、筋機能の異常を引き起こします。 (イラスト部はindication・approachシートを参照ください)

アプローチ

EF-210は、治療分子を患者の筋肉に送達する組換えAAV(アデノ随伴ウイルス)です。この治療分子「CUG-PPR1」は、病的RNAに特異的に結合し、MBNLとCUGリピートRNAの結合を阻害します。
これにより、機能的なMBNLタンパク質の量が増加し、RNAフォーカスが減少して、正常なスプライシング活性と筋機能が回復します。
EF-210の有効性に関する研究論文が『Science Translational Medicine』誌に掲載されています。詳細は Our research paper on efficacy of EF-210 was published in Science Translational Medicine. Please see こちら をご覧ください。

Proof of Concept

in vivo薬理試験では、EF-210薬剤をHSALRマウス群に1回静脈投与しました。この試験では、1 × 10¹³ vg/kg以上の用量を投与した一部のマウスで、最大薬効(針を20回刺しても筋強直が全く観察されない)を確認しました(試験56日目)。

Development Plan

  • DM1マウスモデルでのPOC試験:完了
  • マウスおよび霊長類での非GLP試験:完了
  • IND申請に向けたGLP試験:進行中
  • -   IND申請および初めてのヒトへの投与試験:2027年初頭予定